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売主の担保責任のポイント

売主の担保責任は「法改正前」の内容です!

現在は「契約不適合責任」が民法の内容となっています。

下記は、改正前の売主の担保責任の内容です。

契約をしたら、当事者はその契約を守る義務があります。そして、不動産を売却した売主は欠陥のない不動産を買主に引き渡す義務を負います。
しかし、何らかの理由で、欠陥のない不動産を引き渡すことができなかった場合、売主が何らかの責任を追わないといけません。
これを売主の担保責任と言います。
その責任の内容は以下の3つです。

  1. 損害賠償
  2. 契約解除
  3. 代金減額

買主は状況に応じて上記3つのいずれかもしくは全部を請求できます。

そして、売主の担保責任には6つのケースがあります。

  1. 全部他人物売買
  2. 一部他人物売買
  3. 数量指示売買
  4. 用益権付着売買
  5. 担保権付着売買
  6. 瑕疵担保責任

全部他人物売買

 

A――――→B

(C所有の土地)

例えば、AがBに売却した土地が実は、C所有の土地だった場合、Aは「全部が他人物である土地」をBに売却したことになります。
AがきちんとCから土地を取得してBに引き渡すことができれば、問題ないのですが、Cがその土地をAに譲らなかった場合、AはBに約束通り引き渡すことができません。

この場合、どうなるか?

  1. 善意の買主は、契約解除損害賠償を請求できる
  2. 悪意の買主は、契約解除だけを請求できる

※このように他人の土地であっても有効に売買をすることができます。
それは、民法の原則として、契約自由の原則というものがあります。そのため、他人の者であっても自由に売却することができるわけです。
ただ、約束を守れないとその責任は負わないといけないです。

では、いつまで売主に責任を追及(請求)できるか?

制限はありません。つまり、善意・悪意を問わず、買主はいつでも売主の責任を追及できます。

一部他人物売買

 

A――――→B

(一部だけC所有の土地)

例えば、AがBに売却した土地について、ほとんどがA自身の所有地だったが、一部C所有の土地だった場合、Aは「一部が他人物である土地」をBに売却したことになります。
Aがその一部の土地についてきちんとCから土地を取得してBに引き渡すことができれば、問題ないのですが、Cがその土地をAに譲らなかった場合、AはBに約束通り引き渡すことができません。

この場合、どうなるか?

  1. 善意の買主は、代金減額契約解除損害賠償を請求できる
    ただし、一部だけでも契約の目的を達成できる場合には、契約解除は請求できない
  2. 悪意の買主は、代金減額だけを請求できる

では、いつまで売主に責任を追及(請求)できるか?

  1. 善意の買主の場合→知ったときから1年間
  2. 悪意の買主の場合→契約のときから1年間

数量指示売買

 

A――――→B

(一部だけC所有の土地)

例えば、AがBから100㎡の土地を売ってください!と言って、AがBに100㎡の土地を売却したが、実際に測量をしてみると90㎡しかなかった。約束通り100㎡の土地を引き渡すことができません。

この場合、どうなるか?

  1. 善意の買主は、代金減額契約解除損害賠償を請求できる
    ただし、一部(90㎡)だけでも契約の目的を達成できる場合には、契約解除は請求できない
  2. 悪意の買主は、何も請求できない

では、いつまで売主に責任を追及(請求)できるか?

  1. 善意の買主の場合→知ったときから1年間
  2. 悪意の買主の場合→そもそも責任追求できない

用益権付着売買

 

A――――→B

(地上権が付いていた)

例えば、Bがマイホームを建てる目的で土地を購入しようと思い、BがAから買い取った土地に地上権がついていて、Bが土地を利用することができなかった場合、どうなるか?

  1. 善意の買主は、契約解除損害賠償を請求できる
    ただし、地上権がついていても契約の目的を達成できる場合には、契約解除は請求できない(※1)
  2. 悪意の買主は、何も請求できない

※1:今回の事例では、買主Bはマイホームを建てる目的なので契約の目的を達成できません。したがって、契約解除ができます。

では、いつまで売主に責任を追及(請求)できるか?

  1. 善意の買主の場合→知ったときから1年間
  2. 悪意の買主の場合→そもそも責任追求できない

担保権付着売買

 

A――――→B
抵当権が付いていた)

例えば、AがBに売却した土地に抵当権がついており、契約当時は抵当権が実行されておらず(競売にかかっておらず)、A所有の土地だったが、その後、抵当権実行により所有権を失った場合、どうなるか?

  1. 善意の買主は、契約解除損害賠償を請求できる
  2. 悪意の買主も、契約解除損害賠償を請求できる

※1:今回の事例では、買主Bはマイホームを建てる目的なので契約の目的を達成できません
。したがって、契約解除ができます。

では、いつまで売主に責任を追及(請求)できるか?

制限はありません。つまり、善意・悪意を問わず、買主はいつでも売主の責任を追及できます。

瑕疵担保責任

 

A――――→B
隠れた瑕疵

例えば、AがBに売却した土地について、地中に産業廃棄物が埋まっていた場合、Bは購入しても産業廃棄物の処理費用が追加でかかったりして困ります。
このように、売買の目的物(土地)に「隠れた瑕疵(買主が善意無過失の瑕疵)」があった場合、どうなるか?

  1. 善意無過失の買主は、契約解除損害賠償を請求できる
    ただし、隠れた瑕疵があっても契約の目的を達成できる場合には、契約解除は請求できない(※2)
  2. 悪意の買主は、何も請求できない

※2:売買の目的物が新築住宅の場合、瑕疵修補(修理)も請求できる

では、いつまで売主に責任を追及(請求)できるか?

買主が、瑕疵があることを知った時から1年まで、請求できます。

■注意点
売主が知っていて買主に告げなかった事実(瑕疵)については、担保責任を負わないという特約をしても,売主は担保責任を免れることができない。

売主の担保責任のまとめ表

悪意――制限なし悪意――契約の時から1年間悪意――――悪意――――悪意制限なし悪意――――

買主の状況 契約解除 代金減額 損害賠償 追求期間
全部他人物 善意 制限なし
一部他人物 善意 知った時から1年間
数量指示 善意 知った時から1年間
用益権付着 善意 知った時から1年間
担保権付着 善意 制限なし
瑕疵担保 善意無過失 知った時から1年間
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