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表題部と権利部、保存登記、登記申請、登記の原因

不動産登記簿には、「土地登記簿」と「建物登記簿」があり、土地、建物ともに表題部権利部から成り立っています。
下記の図はともに建物の登記事項証明書(建物登記簿)の一例です。実際は、「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」がつながって記載されていますが、今回は一つ一つ解説するために、分けています。

表題部

 

表題部は、不動産の物理的情報が記載されています。
土地・・・所在、地番、地目、地積など
建物・・・所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積など
所有者の記載もあるのですが、これを「表題部所有者」という。ただし、権利部の記録(所有権の保存登記)がなされると、表題部所有者は抹消されます。

権利部

所有権や抵当権などの権利に関する情報が記載されており、甲区(所有権に係る情報)と乙区(所有権以外に係る情報)に分けれています。
甲区には所有権や所有権の差押など、所有権に関する内容だけが記載されています。

一方、乙区には所有権以外の権利、例えば、抵当権や地上権などが記載されています。

ここに記載されている権利者を「登記名義人」といいます。
上図でいうと、「所有権の登記名義人は山田太郎」で「抵当権の登記名名義人はABC銀行」です。

順位番号受付番号

上記謄本を見ていただくと、権利部一番左に順位番号、権利部の真ん中に受付番号があります。
この二つについて重要な部分を解説します。

順位番号というのは、甲区だけもしくは乙区だけに着目して、登記された順番を表しています。
受付番号というのは、甲区も乙区も含めて全体から見て、登記された順番を表しています。

登記申請義務

表示の登記については1ヶ月以内登記しなければなりません。(義務
どういうことかというと、新築すると、所有者は表題登記(表示・表題部に関する登記)をしなければなりません。つまり、「木造2階建て、床面積145㎡の建物を新築しましたよ」っと公開することです。 これは必ず登記しなければなりません。
していないと、登記官職権(自らの権利)で行うこともあります。
このように登記官が職権で登記をすることを嘱託登記と言います。

権利部(甲区・乙区ともに)については、登記申請義務はありません
つまり、中古の家を買ったからと言って所有権移転登記をしなくてもいいということです。
しかし、登記をしないと第三者に対して対抗することができなくなるので、二重譲渡されて、登記をされたら、悪意の第三者であっても所有権を取られるので注意が必要ですね。
また、嘱託登記はできないので、必ず、権利部についての登記は行いましょう。

登記の申請者

原則、登記申請は権利者と義務者が共同して登記をしなければなりません。
つまり、不動産の売買を行った場合、売主と買主が共同で登記申請しなさいということです。
例外として、下記の場合は単独で登記を行うことができます。

  • 相続による登記
  • 判決による登記
  • 仮登記(登記義務者の承諾・仮登記を命ずる処分がある場合)
  • 所有権保存登記
  • 登記名義人の氏名などの更登記・更正登記

登記の原因

登記の原因となった法律行為(内容)が何なのかを表す物で、例えば、売買によって所有権移転登記を行う場合、「売買契約」が登記の原因ですし、上記の「権利部の乙区」の「権利者その他事項」の欄を見ていただくと、「平成29年2月4日 金銭消費貸借同時設定」と記載されています。これが登記の原因です。つまり、抵当権は、金銭消費貸借が原因で設定しました!ということです。

そして、売買契約書や抵当権設定契約書などを「登記原因証明情報」と言います。登記の原因となったことを証明するための書類ですね!
これは、登記申請書(登記申請情報)と合わせて登記所に提出します。

土地の表題登記(表題部の登記)

新たに生じた土地」、「表題登記がない土地」の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければなりません。
※「新たに生じた土地」とは、例えば、公有水面(海、池など)を埋め立ててできた土地を指します。
※「表題登記がない土地」とは、表題部所有者の登記も所有権の登記もなく、所有者が不明の状態になっていたもので時効取得した土地等です。

建物の表題登記(表題部の登記)

新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければなりません。

区分建物である建物(マンション等)を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、当該建物についての表題登記を申請することができます。(この場合、表題部所有者は被承継人です)

建物の表題部の変更の登記

建物の種類、構造及び床面積等について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、当該変更があった日から1か月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければなりません。

所有権の保存の登記

上図の「権利部(甲区)」の「登記の目的」に所有権保存とありますね。
これは、所有権の登記のない不動産(権利部がない不動産)について、初めてされる所有権の登記です。
所有権保存登記をすることで、所有権者は「山田太郎です!」と第三者に対抗する(主張する)ことができるようになります。

 

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