監督処分の種類
監督処分については、「宅建業者に対する処分」と「取引士に対する処分」の2つに分けることができます。これをごっちゃにして覚えないように注意しましょう!具体的には下記のような監督処分があります。
宅建業者に対する処分 | 取引士に対する処分 |
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監督処分の処分権者
宅建業者に対して処分ができる者(処分権者)
- 免許取消処分については、「免許権者」しか行うことができない。
- 指示処分と業務停止処分は、「免許権者」だけでなく、「業務地を管轄する都道府県知事」も行うことができる
【具体例】
- 宅建業者(甲県知事免許)が、乙県の取引で、宅建業法違反をして「指示処分」を受ける場合、甲県知事も、乙県知事も行うことができる
- 宅建業者(甲県知事免許)が、乙県の取引で、宅建業法違反をして「業務停止処分」を受ける場合、甲県知事も、乙県知事も行うことができる
- 宅建業者(甲県知事免許)が、乙県の取引で、宅建業法違反をして「免許取消処分」を受ける場合、甲県知事しか行うことができない
取引士に対して処分ができる者(処分権者)
- 登録消除処分については、「登録した知事」しか行うことができない。
- 事務禁止処分と指示処分は、「登録した」だけでなく、「業務地を管轄する都道府県知事」も行うことができる
【具体例】
- 取引士(甲県知事登録)が、乙県の取引で、宅建業法違反をして「指示処分」を受ける場合、甲県知事も、乙県知事も行うことができる
- 取引士(甲県知事登録)が、乙県の取引で、宅建業法違反をして「事務禁止処分」を受ける場合、甲県知事も、乙県知事も行うことができる
- 取引士(甲県知事登録)が、乙県の取引で、宅建業法違反をして「登録消除処分」を行う場合、甲県知事しか行うことができない
監督処分の手続きの流れ
①処分権者(知事または大臣)は聴聞の期日の1週間前までに「宅建業者」に対して、聴聞の期日および場所等を通知する。
②聴聞の期日および場所が公示される。
③聴聞が公開により行われる。この聴聞では、違反者の弁明(言い訳)の機会を与えられる。
④指示処分や業務停止処分、免許取消処分が行われる。
⑤宅建業者に対して、業務停止処分または免許取消処分が行われた場合、必ずその旨が公告される。業務地を管轄する知事が処分を行った場合、免許権者に通知または報告をする。
※免許権者が知事の場合は「通知」という言葉を使い、免許権者が国土交通大臣の場合は「報告」という言葉が使われます。
■取引士に関する処分についても、原則上記の流れで監督処分を行います。ただし、取引士に対しては⑤公告はありません。そして、⑥については、業務地(行為地)を管轄する知事が指示処分や事務禁止処分を行った場合、登録した知事に対して通知します。
内閣総理大臣との協議
国土交通大臣は、その免許を受けた宅建業者が一定の規定による処分をしようと するときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければなりません。
宅建業者に対する指示処分
以下の事由に該当するとき、「免許権者」又は「業務地を管轄する都道府県知事」は、宅建業者に対して指示処分を行えます。(任意なので、しなくてもよい)(軽微な違反)
- 宅建業法に違反したとき
- 業務に関し取引関係者に損害を与え、または与えるおそれが大であるとき
- 業務に関し取引の公正を害する行為をし、または害するおそれが大であるとき
- 業務に関し、他の法令に違反し、宅建業者として不適当であると認められるとき
- 取引士が事務の禁止処分や登録の消除処分を受けた場合に、宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき
- 住宅瑕疵担保履行法の一定の規定に違反した時
※6について、①住宅販売瑕疵担保保証金の供託、②資力確保措置の状況についての免許権者への届出、または①②をせず、売買契約締結の制限に違反した場合が具体例です。
宅建業者に対する業務停止処分
以下の事由に該当するとき、「免許権者」又は「業務地を管轄する都道府県知事」は、宅建業者に対して業務停止処分を行えます。(任意なので、しなくてもよい)(やや重い違反)
業務停止処分の期間は最長で1年間です!
- 業務に関し他の法令に違反し、宅建業者として不適当であると認められるとき
- 取引士が、監督処分を受けた場合において、宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき
- 一定の宅建業法違反したとき
- 住宅瑕疵担保履行法の保証金の供託義務、不足額の供託義務に違反したとき
- 指示処分に従わなかったとき
- 宅建業法の規定に基づく国土交通大臣又は都道府県知事の処分に違反したとき
- 宅建業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が業務の停止をしようとするとき以前5年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。
- 法人である場合において、その役員又は政令で定める使用人のうちに業務の停止をしようとするとき以前5年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至ったとき。
- 個人である場合において、政令で定める使用人のうちに業務の停止をしようとするとき以前5年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至ったとき
※宅建業法違反すべてが対象ではなく、一定の宅建業法違反に限られています。ただし、それを細かく覚えるのは不可能なので、ここまで覚える必要はないでしょう。
宅建業者に対する免許取消処分
免許権者は、免許取消処分を行わなければならない場合と、免許取消処分を行うことができる場合の2つがあります。必ず免許取消処分を行わなければならない場合を「必要的免許取消処分」といい、免許権者の裁量で免許取消処分を行うことができる(任意の)場合を「任意的免許取消処分」といいます。
必要的免許取消処分 |
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任意的免許取消処分 |
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取引士に対する指示処分
以下の事由に該当するとき、「登録した知事」又は「業務地を管轄する都道府県知事」は、取引士に対して指示処分を行えます。(任意なので、しなくてもよい)(軽微な違反)
- 宅建業者に自己が専任の取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の取引主任者である旨の表示をすることを許し、当該宅建業者がその旨の表示をしたとき
- 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して取引士である旨の表示をしたとき
- 取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
取引士に対する事務禁止処分
以下の事由に該当するとき、「登録した知事」又は「業務地を管轄する都道府県知事」は、取引士に対して事務禁止処分を行えます。(任意なので、しなくてもよい)(やや重い違反)
事務禁止処分は1年以内の期間を定めて取引士としてすべき事務が禁止されます。
- 宅建業者に自己が専任の取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の取引士である旨の表示をすることを許し、当該宅建業者がその旨の表示をしたとき
- 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して取引士である旨の表示をしたとき
- 取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
- 指示処分に従わなかったとき(違反した時)
取引士に対する登録消除処分
以下の事由に該当するとき、登録した都道府県知事は、取引士に対して必ず登録消除処分を行わなければなりません。(義務なので、必ず行う)(非常に重い違反)
取引士の場合 |
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取引士資格者の場合 |
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